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ウィロー・パターン | キヤアンティークス
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ウィロー・パターン


藤沢ウェアハウスにあるウィロー・パターン陶磁器のコレクションです。

ウィロー・パターンは18世紀にヨーロッパで流行したシノワズリ(東洋美術様式)の代表的モチーフの一つで、数多の銘窯からウィロー・パターンの陶磁器が生み出されました。

このパターンは定番の意匠があり、おおむね以下のような内容になっています。

①柳(ウィロー)の木
②空を飛ぶ2羽の鳥
③水上の小島に建つ2階建ての家と茶室
④島々の間に架かる橋
⑤橋の上を渡る3人の人物

一見しただけではどういった意味があるのかは分かりませんが、実はこれに、ある悲恋の物語が隠されています。

 

こちらがウィロー・パターン。ウィロー=柳(やなぎ)のこと。

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物語の舞台は昔々の中国。

とある宮殿に仕える大臣には”クーン・セ”という名前の美しい娘がいました。
彼女は父の部下で、会計官吏の”チャン”という誠実な青年と恋に落ちます。

二人の関係を知った大臣は身分違いの恋を許さず、チャンを職務から罷免し、宮殿より追放してしまいます。
さらに大臣は自身の住まう邸宅の周囲を堅牢な柵(さく)で覆い、恋人たちが二度と関わりあうことのないよう、娘の結婚相手として”ター・ジン公爵”という有力な貴族に縁談を持ちかけます。

大臣から知らせを受けたター・ジン公は、さっそく船で大臣の住まう島を訪れ、クーン・セとの結婚を申し出ます。
くわえて、「柳の花が落ちる日」の晩に大臣の邸宅で婚礼を挙げて正式に彼女を妻に迎えることを宣言し、引き揚げていきました。

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それから幾月か経った婚礼の晩、招待客であふれる邸宅内へ、召使いの装束に身を包んだチャンが忍び込みます。
チャンは誰にも気づかれることなく敷地を廻り、邸宅の中心でついにクーン・セを見つけます。

持参金として持ち込まれた財宝に囲まれながら、さめざめとした様子で花嫁の席に座るクーン・セ。
チャンは彼女を連れて、邸宅から逃げ出しました。

大臣が先ず、娘の姿がないことに気づきます。
花嫁の不在があらわになるや、邸宅の警鐘が鳴らされ、島中に響き渡ります。

島を出て橋の上を駆け抜ける二人を、花嫁の父である大臣が、鞭をふるいながら追いかけます。
左下に描かれた「橋の上を渡る3人の人物」は左から順に、

・純潔を示す糸巻き棒を持つ クーン・セ
・財宝(婚礼の持参金)の入った箱を持つ チャン
・鞭を振って二人を追いかける 大臣

を描き、この場景を表しています。

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チャンとクーン・セは追っ手を振り切り、船に乗って誰にも知られていない島へと逃げ延びます。
パターンの左上に描かれている島に建つ、木々に隠れた三角屋根の家が二人の住処となります。

そこで恋人たちは蜜月を過ごしますが、幸せも束の間、ふとした事から二人の所在がター・ジン公の知るところとなります。

復讐に燃えるター・ジン公は追手を差し向け、島に上陸した兵士の手によってチャンは殺されてしまい、それを知ったクーン・セもまた、後を追って自ら命を絶ちました。

この顛末を見ていた神々が二人を哀れに思い、その魂を呼び寄せると、夫婦鳥に生まれ変わらせます。

 

こうして2つの魂は2羽の鳥に姿を変え、ウィローパターンの中で永遠に空を舞っているのです。

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陶磁器の模様の中に物語が隠されているなんて、なんともロマンチックですよね。
背景の物語を知る前と後でガラリと印象が変わって見えるのも、絵解きの面白さです。

 

※上記の物語以外にも作られた時代や国によってウィロー・パターン内容には諸説あり、七夕(たなばた)伝説を描いているとする品や、なかにはイギリスの作家ジェームズ・グレイスによって書かれたフェアリー・テイル”Green Willow”の物語が描かれている、とされる作品も存在します。

Shere
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