レザーロッキングチェアのレストア

ヴィンテージの本革のボタン留めロッキングチェアが入荷しました。
このデザインの家具は18世紀から脈々と作られていて、キヤアンティークスでも過去に数脚取り扱ったことがあります。
小差はあれど何れも1人掛けのソファタイプだったのでロッキングチェアタイプは初めての入荷と記憶しています。
同じ様な家具をウェブ上で新旧よく見かけますが、1970以降は木材の継ぎ方が違うようです。
※(旧)実際にバラして見ないと正確なところはわかりませんが、この頃作られた家具はダボ(丸棒)で木材同士をジョイントしているはずなので継ぎ目はフラットです。
(新)フィンガージョイント、最近の技法なのでより中古感が出てしまいますが強度は高いとのこと。
全体の状態は悪く無いようでクリーニングがメインの修復となります。

まずは構造のチェック。
麻の裏張りが解れていたため、張り替える流れで座面の裏側から治せる箇所は手を入れておきます。
フレーム各部のネジ類はポジドライブか使われていたため、作られた時代はおそらく戦後のイギリス製。
1950〜70年代といったところでしょうか。
1部抜けてた箇所はプラスネジを足しておきました。
イギリス家具特有と言って良いと思うのですが、作業をしていると白いペンキが細かく跳ねた様な汚れをよく見かけます。
おそらく室内の壁をローラーで塗った際の飛沫だと思われます。
この手の仕事を自分たちでこなしてしまうのが凄いところですが、マスキングやら養生が適当なのがいかにもイギリス人という感じがします。
木部のペンキ汚れはどうということは無いのですが、革の場合少し強めに擦ると吟面にキズが付くので要注意です。
数種類溶剤も使ってみましたが、今回は革の塗膜も溶かしてしまったので諦め、根気よく削って落としました。
シート全面のベンキ跳ねやワックスをクリーニングして、粗方落ちた状態で革用の塗料を小キズもろとも上から吹き付けて表情を均一にします。
木部は塗膜が傷んでいたので着色剤を吸わせて小キズを消してからフレンチポリッシュ。
革の仕上がりに合わせてフレームもバランス良く仕上げました。
ここまで作業すればやや新品寄りな仕上がりになりますが、ヴィンテージなのできれいな分には問題無しでしょう。

藤沢店で展示販売中です。
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